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原初のキス

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2019年 02月 01日

たわまない支持体 ~ リペルアート(4)

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紙がたわむというのは非常に困るのである、もちろん紙のたわみ自体を表現にするようなものがあってもいいとは思うが通常の作品を作る限りもし紙が絵具や一緒に用いる水などによりうねうねと過度にたわんでいたなら、感覚へのノイズになる。またそれ以前に大抵の場合作りづらい。よって紙のたわみを避けるために水張りをしたり(水張りというのは紙に水を含ませて伸ばして板などに貼り、予めたわみ歪みを避ける処置のこと)あるいはそもそもたわまないカンバスや板を使う。

さて、リペルペーパーであるが(渋谷のウエマツさんで売っている)、この紙は合成樹脂でできており絶対にたわまない。
最初知った時はふ~ん、ていう軽い感想だったが使っていくにつれこれはすごい、と思うようになった。水張りの手間が省けるのは勿論、自分が使っているものは厚み130ミクロンちょいのごく薄いものだが大き目の作品でも巻いて保管できるので省スペースである(しわも寄りにくい)。今考えているのは50号位の作品を木製パネルの上に仮どめして仮縁(ネジなどでパネルに取り付ける簡易な額)を付けるというもので、展示が終れば作品を外して巻いて保管するということ。パネル・仮縁が転用でき省スペース及び経費節減となる。

たわまなくて支持体として使えるものはもちろん塩ビシートなどもあり自分も使ってきたが、風合いや軽さについてはリペルペーパーに軍配が上がる。水分が染み込まず、かといって過度にはじかず、という性質、これも、面白く使っていけるはず。

(図像 是蘭 リペル試作 部分)



by zelan | 2019-02-01 11:32 | リペルアート
2019年 01月 22日

リペルアート(3)~ 利用のメリット

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このブログで紹介しているリペルアート、美術制作の材料としては非常に秀逸なものだと思うが、自分のそう思う理由の一つが、これである。即ち、

「広い面を一挙に処理できる」こと。

・・・と、いうとあまりに素朴すぎてアレだが、これはこの液剤が、化学反応的なるもので自分自身で動いてくれるからでつまり勝手にイメージを生成してくれるから。ある意味、「絵を描く」という概念そのものを転覆させるところがある。

実は、普通の描画材だって、そういうことろがないでもないけど。例えばアクリル絵具をペインティングナイフにとってカンヴァスに施すとしても、それがある特殊な粘度その他の性質をもっているからこそナイフの下で「そういう形」を描きとまってくれる訳であって、完全に作者が自分の企図だけで絵具を操っている訳でなく、絵具さんの方も自分で自ら描いてくれていちゃったりするのである。

でもリペルの場合、より動的で目に見えるので、あーこちらの方々に描いてもらっている、という感が強まる。彼らの働きをもって広い面が視覚的に多様に仕上がっていくのをみると殆ど「ありがたい・・・」という気持ちにすらなる。この状況を自分の力を主に作りだすとすればいったいどれだけの時間を投下すべきであろうか。つまりこれもまた素朴かつ味気ない言い方になるが、リペルは「時短」になる。

さて、しかしながら時短だと言って喜んでばかりいる訳にもいかない。それで単純に喜んでたら働き方改革で残業時間を50%減らしましたが利益も70%減りました、みたいな状況になるかもしれないのだ。
表現としての価値を実現するために、リペルの動きの制御や、どこで止めるか問題が制作においては俄然浮上してくるのであって、これについてはまた追って書くことにします。






by zelan | 2019-01-22 21:06 | リペルアート
2019年 01月 20日

リペルアート(2)~ リペルペーパー

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リペルアートには、リペルペーパーを使用する。

これは紙とはいっても合成樹脂が原料で、水を吸い込まず、よって水気に触れてもたわまず、よれず、へたらず、反らないで形状が非常に安定している。こしがあって皺もよりづらい。
ウエマツさんで販売されているものは薄口と厚口で各種大きさがあるが、薄手のはほんとかなりぺらっぺらだけど、私など四六判(約80x110cm)の大きさのものを作業台に上げたり下ろしたりを繰り返してもイメージに対して問題になるようなしわが容易にはよらないので、かなり扱い易い。
水で伸びないということは、水分を多く使う技法でもたわみを避けるために水ばりする必要がなく、パネルなどに貼る際は直接のりで貼ればよいようである。

他に良い性質としては、樹脂性で耐水といっても塩ビのように素っ気ないいかにも工業製品の風合いでなく、微かな黄味を帯びた色味やちょっと粉っぽく見えるマチエールが結構上品なこと。白地が見えてても問題がない。

更に、自分の場合制作に紙やビニール性のマスキングテープを多用するのだが接着が非常によくて、リペルのようにゆるゆるの液体をおいても輪郭に沁みてしまうことが殆どないのが気に入った。
(但し注意としては、アクリル絵具を直接のせて後でその上にマスキングテープを施すと剥がす際にしばしば基層から剥がれてしまう。この点はマスキングを使わない場合は問題がないとは思う。)

もちろんカンヴァス地や和紙、個々の洋紙にはそれぞれの特徴や魅力があり、技法とのマッチングはよくよく検討する必要があるが、リペルペーパーは紙自体としてなかなか興味深く、和紙とも洋紙ともカンヴァスとも違うし木とも塩ビとも違う、これは美術の支持体としては「こういう存在」として常識を超えるユニークさをもった新しいカテゴリーだ。リペルアートに限らず使い手がありそうである。

リペルとマチエの両液で行なうリペルアートについては、普通の紙や、ニスなどで防水性を付けた紙も使ってみたが、他の支持体でははじき効果が十分発現せず(表現としてそれでよければもちろんかまわないが)、まずはメディウムの特性を理解するという意味でもリペルペーパーを使うのが最適だ。リペルペーパーには例えばスプレーなどで薄い層をつくっても効果がさほど薄れないことは確認した。ただアクリル絵具などの層を先に創ってしまうと効果が出づらくなる。

いずれにせよこの紙の価値はただ一つに集約されるものではない。まあ、筋のいいものっていうのはたいていの場合、そういう性格を持っている。

(図像:是蘭 リペル試作より)



by zelan | 2019-01-20 14:55 | リペルアート
2019年 01月 13日

リペルアート(1)~ 基本

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渋谷Hikarie並びのウエマツさんと言えば戦前からやっている老舗の画材店だが、こちらで販売されているリペルという画材シリーズを縁あって探求している。これがまた、「油絵具」とか「アクリル絵具」とかのレベルで標準描画材になってもいいのでは・・と思ふ程興味深い。

基本は
 ・リペルペーパーという水分を吸い込まない性質の用紙に
 ・リペルという液剤を塗布し
 ・その上からマチエという液剤を垂らす

材料たち:紙はリペルペーパー、黒いのがリペル、白いのがマチエ
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リペルをボトルから紙に垂らして、又は皿に入れるなどしてから筆で塗布
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乾く前にマチエを垂らすと化学反応?で模様が現れます。
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リペルには各種ありマチエ(カラーもあり)との反応で種々の図像ができる。リペルの塗布の厚みやマチエの量なども結果に影響。
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この画材の開発企図は「美術の裾野を広げる」ことであると聞き及んだ。確かに、使って易しく目に楽しい。
一方、流体のふるまいにきっかけを与え、制御し(完全には制御しきれないが)、選択し、定着させるという通常の粘度のある絵具とは異なる機序が、作り手である自分をふと我に返らせるところが個人的には興味深い。どうして図像をそこで選ぶのか、自分がおもしろいと思っているものは何で、それは正当なものなのか、等々である。なぜなら、それはかなり根本の問いなのだから。




by zelan | 2019-01-13 17:15